災害時、車は「移動手段」だけじゃない!日頃から考えておきたい「防災×車」の活用法

地震、大雨、土砂災害、河川の氾濫、台風、高潮――。

近年、日本各地でさまざまな災害が発生しており、備えの必要性が高まっています。

特に広島県では、山沿いの地域では土砂災害、河川沿いでは洪水、沿岸部では高潮や津波など、住んでいる場所によって注意すべき災害が変わります。

そんな災害への備えとして、身近な存在なのが「車」です。

車は避難するための移動手段になるだけではありません。

スマートフォンの充電や一時的な待機場所、避難ルートの確認など、普段使っている車を「防災の道具」として活用できる場面があります。

ただし、災害時に車を使えば必ず安全というわけではありません。

今回は、特別な防災用品を大量に買いそろえなくてもできる、「防災×車」の基本を紹介します。

まずは「自分の地域で何が起きるか」を知る

車の防災を考える前に、まず確認しておきたいのが自宅周辺の災害リスクです。

広島県では、市町ごとにハザードマップが用意されています。土砂災害、洪水、高潮など、災害の種類によって危険な場所が異なるため、それぞれ確認することが大切です。(広島県公式サイト)

例えば、山沿いに住んでいる人と海沿いに住んでいる人では、災害時の車の使い方も変わります。

山間部なら、

  • 土砂崩れによる道路の寸断
  • 落石
  • 大雨による通行規制

などが考えられます。

一方、沿岸部なら、

  • 津波
  • 高潮
  • 海岸付近の浸水

などへの注意が必要です。

まずは「自宅から避難所まで車で行けるか」だけでなく、その途中にどんな危険があるのかを確認しておきましょう。

車に「少しだけ」防災用品を積んでおく

防災のために車を防災倉庫にする必要はありません。

まずは、

  • 飲料水
  • タオル
  • レインコート
  • 軍手
  • ウェットティッシュ
  • ビニール袋
  • 懐中電灯
  • 簡単に食べられる非常食

など、普段から使えるものを少し用意しておくだけでも十分です。

特に広島県や中国・四国の山間部では、大雨や土砂災害によって道路が通行できなくなる可能性があります。

「避難所へ行くための道具」だけではなく、道路上で思わぬ足止めを受けたときのための最低限の備えと考えるとよいでしょう。

ただし、夏場の車内は非常に高温になります。

食品や飲料、電池を使う機器など、車内の高温によって劣化するものについては、保管方法や季節ごとの入れ替えが必要です。

モバイルバッテリーを置くより「車そのもの」を電源にする

災害時にはスマートフォンが重要な情報源になります。

避難情報、気象情報、道路情報、家族との連絡など、スマートフォンの電源が切れると困る場面は少なくありません。

そこで確認しておきたいのが、自分の車にどんな電源設備があるかです。

車種によっては、

  • USB端子
  • アクセサリーソケット
  • AC100Vコンセント
  • 外部給電機能

などが備わっています。

スマートフォンを充電するためのケーブルを車に用意しておけば、モバイルバッテリーを車内に常備しなくても、必要なときに車を電源として利用できます。

リチウムイオン電池を使ったモバイルバッテリーなどは、高温環境での使用や保管に注意が必要です。国民生活センターも、リチウムイオン電池を搭載した機器について、高温になる環境や放熱が妨げられる状態での使用に注意を呼びかけています。(国消センター)

「防災用だから車に積みっぱなし」ではなく、「車から電源を取る」

という発想に切り替えるのも一つの方法です。

もちろん、エンジンをかける場合は場所に注意しましょう。

車庫など換気の悪い場所でエンジンをかけ続けると、一酸化炭素中毒の危険があります。

避難所までの道を「実際に車で走ってみる」

これは今すぐできる防災対策です。

自宅から指定避難所までのルートを、普段の買い物などのついでに一度走ってみましょう。

地図だけでは分からないことがあります。

「この道は思ったより狭い」

「ここは大雨になると水がたまりそう」

「この先は山沿いだ」

「この道路が通れなくなったら迂回路がない」

――。

実際に走ってみると、いろいろなことに気づきます。

広島県では、道路の通行止めや雨・冠水などによる規制情報を確認できる「ひろしま道路ナビ」も公開されています。道路を使って避難する場合には、こうした情報を確認する習慣も役立ちます。(道路ナビ広島)

ただし、「いつもの道を走れば避難できる」と思い込まないことも重要です。

災害時には道路そのものが危険になる可能性があります。

大雨のときは「車で逃げる」が正解とは限らない

特に覚えておきたいのが大雨のときの判断です。

大雨が降っているからといって、慌てて車で避難するのが安全とは限りません。

道路が冠水すると、車が立ち往生する可能性があります。

また、山沿いの道路では土砂災害の危険もあります。

広島県は、土砂災害の危険度や河川の水位などをリアルタイムで確認できる防災情報を提供しています。避難情報だけでなく、こうした観測情報も確認して、早めに判断することが重要です。(広島県公式サイト)

つまり、

「災害が起きたら車で避難する」ではなく、「安全に避難できる段階なら車も選択肢にする」

という考え方が大切です。

危険が迫ってから無理に車を動かすより、早めに避難するほうが安全な場合もあります。

車を「一時的な待機場所」として使う

車は、状況によっては一時的な待機場所としても役立ちます。

例えば、自宅の安全は確認できているものの、停電や余震などで一時的に家の中にいるのが不安な場合です。

車なら雨風を避けながら、スマートフォンの充電などができます。

ただし、車内避難にも注意が必要です。

夏の車内は高温になり、エンジンを止めた状態では短時間でも危険な温度になることがあります。

逆に冬は低温になります。

また、長時間車内で過ごすことが健康上の負担になる場合もあります。

したがって、車は**「避難所の代わり」ではなく、状況に応じた一時的な待機場所**と考えておきましょう。

「ガソリンが少ない」は災害時の弱点になる

もう一つ、普段からできる防災対策があります。

それが「早めの給油」です。

災害が発生すると、道路事情や停電などによって、ガソリンスタンドが通常どおり営業できなくなる可能性があります。

そのため、

「給油ランプが点いてから考える」

という乗り方より、

「半分くらいになったら給油する」

くらいの習慣をつけておくと安心です。

特別な防災用品を買う必要もありません。

普段の給油を少し早めるだけです。

特に郊外や山間部では、ガソリンスタンドまでの距離が長いこともあります。

日常のカーライフそのものを防災につなげる、非常に簡単な方法です。

タイヤとバッテリーの点検も「防災」

災害時に車を使う可能性があるなら、車そのものが正常に動くことも重要です。

例えば、

  • タイヤの空気圧
  • タイヤの溝
  • バッテリー
  • ワイパー
  • ヘッドライト
  • ウォッシャー液

などを定期的に確認しておきましょう。

特に大雨のときは、タイヤの状態が重要です。

溝が少なくなったタイヤでは、濡れた路面で十分な性能を発揮できない可能性があります。

「防災」というと非常食や防災リュックを思い浮かべがちですが、普段から車を良好な状態に保つことも立派な防災対策です。

車を「防災の道具」にするために、今日できる3つのこと

ここまで紹介したことを全部やる必要はありません。

まずは次の3つだけでも十分です。

① ハザードマップを見る

自宅周辺について、土砂災害、洪水、高潮、津波などの危険がないか確認します。

広島県は災害種別ごとのハザードマップや防災情報を公開しています。(広島県公式サイト)

② 車の電源を確認する

USB端子やアクセサリーソケット、AC100Vコンセントなど、自分の車にどんな電源設備があるのか確認します。

スマートフォンの充電ケーブルを車に用意しておくのも簡単です。

③ 「半分給油」を習慣にする

災害が起きてから慌てて給油するのではなく、普段から燃料に余裕を持たせます。

これだけでも、いざというときの行動範囲が変わります。

「車で逃げる」より「車を使える状態にしておく」

防災と車を考えるとき、一番大切なのは「災害が起きたら車で逃げよう」と決めてしまわないことです。

災害の種類や発生場所、道路の状況によって、安全な避難方法は変わります。

広島県の地域防災計画でも、避難路については洪水、高潮、土砂災害などを考慮し、海岸・河川・急傾斜地沿いの道路を原則として避難経路に選定しない考え方が示されています。(広島県公式サイト)

つまり、重要なのは「車があるから大丈夫」ではありません。

車をいつでも使える状態にしておき、災害の状況に応じて使うかどうかを判断できるようにしておくことです。

普段の給油。

タイヤの点検。

スマートフォンの充電方法の確認。

避難所までのルート確認。

そしてハザードマップのチェック。

どれも特別な準備ではありません。

車を使って暮らしているなら、毎日のカーライフに少しだけ「もしも」を加える。

それだけでも、災害への備えは一歩前進します。